履いて歩けば身体改善~世界最小のフィットネススタジオ
「世界最小のフィットネススタジオ」というキャッチコピーで、ヨーロッパ、アメリカをはじめ、世界中で愛用されているトレーニングシューズがある。その名も『MBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)』。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080328/22722
ニーズに合わせて、ビジネスからカジュアルまで、さまざまなモデルが用意されている 履いて歩くだけで、理想的な歩行姿勢が身につき、全身の筋肉が活性化。運動におけるパフォーマンスアップはもちろん、ダイエット効果やボディーラインの改善も期待できるため、アスリートのみならず、美容・健康志向の方にも広く愛用されているという。ここ数年、日本でも履いている人を多く見かけるようになってきた。
わざわざジムに通う手間をかけなくともフィットネス効果が得られる。忙しい現代人にとって、これはとても魅力的なことだ。
とはいえ、「本当に履いて歩くだけでいいの?」という疑問も当然出てくるだろう。正確に言えば、「履いて歩く」だけではない。「MBTを履いて、正しい姿勢を意識して歩けば」ということになる。
さて、この春、心機一転、身体改善に取り組もうと考えている人も少なくないのではないだろうか。そこで、オーマイニュースでは、この「世界最小のフィットネスジム」に注目してみることにした。競技力向上をめざすアスリートから、シェイプアップをめざすトップモデルまで、多くの人に愛される『MBT』の効果と、それを支えるテクノロジーに注目していこう。
『MBT』、開発の経緯
『MBT 』が登場したのは1996年のこと。開発者は、スイス人技術者のカール・ミューラーさん。ミューラーさんは、ひどいアキレス腱(けん)痛、腰痛、膝(ひざ)痛に苦しんでいたそうだが、あるとき、草原や森の中の柔らかな地面を歩き、痛みが軽減されることに気づいたという。そして、ふと、東アフリカの半遊牧民族・マサイの人々に、関節痛や腰痛に悩む例がほとんどないという話を思い出したそうだ。
左が通常の靴での歩行姿勢。右が『MBT』を履いた際の歩行姿勢
マサイの人々の姿勢の良さは世界的にもよく知られており、それが彼らの健康を支えていると言われているが、では、なぜ、彼らは、健康を維持できる理想的な姿勢を身につけられるのか。そう疑問を抱いた彼は、マサイ族の生活環境に注目し、その秘密に気づいた。それは、マサイの人々がいつも裸足(はだし)で柔らかな大地を歩いているということ。そして、その発見が『MBT』開発の着想につながったのである。
固い地面の上を、足をがっちりとホールドする靴で歩くようになった結果、現代人の姿勢は、関節痛や腰痛に悩まされるほど崩れてしまったと言われている。不安定な大地をバランスよく歩くことで動かされる筋肉が使われなくなり、結果として身体全体のバランスが崩れてしまうそうだ。
そこで、ミューラーさんは人間本来の歩行能力を引き出せる靴を開発しようと考えた。具体的に着手したのは、草原や森の大地のような不安定な地面を靴の底に再現すること。足の安定をできる限り保つことを目的とした従来の靴とはまったく逆の発想をしたわけである。そして、数年にわたる試行錯誤を繰り返し、固い地面の上でも柔らかな大地の上を歩く感覚を実現する『MBT』が完成したのである。
「自然の不安定さ」はどのように実現?
『MBT』の大きな特色は、世界特許を取得している「靴底」の形状にある。足底の圧力をソール全体に分散させる「シャンク」、前後方向の不安定さ、およびローリング運動を導く「ポリウレタンミッドソール」、そして、砂浜や柔らかな大地の上を歩いているような感覚を生み出す「マサイセンサー」。これらが複合的に作用することで、「自然の不安定さ」を実現しているという。
上から2つ目が「シャンク」、続いて3つ目がローリング運動を生み出す「ミッドソール」、そして4つ目が、「自然の不安定さ」を生み出す「マサイセンサー」。また、一番下の「アウトソール」は、シューズの用途に合わせてさまざまなパターンが用意されているという 『MBT』を履いて正しい姿勢を意識して歩けば、人間に本来備わっている姿勢保持安定化システムが正常に機能し始めるという。それにより、以下のイラストのような効果が見込めるそうだ。なお、この効果に関しては、すでにカルガリー大学(カナダ)、シェフィールドハラン大学(イギリス)、バーゼル レンバーンクリニック(スイス)などの研究で実証されているとのこと。
また、歩かずに、直立しているだけでも、姿勢を安定させようとする効果によって「下腿部の筋群:38パーセント」、「大腿(だいたい)部後ろ側の筋群:37パーセント」、「臀部(でんぶ)の筋群:28パーセント」の筋活動の増加が見込めるという。
普段使われない筋肉を活性化することで、運動におけるパフォーマンスがアップすることはもちろん、代謝も良くなるため、結果的にダイエットにもつながる。また、姿勢が良くなることで、関節への負担が軽減し、ケガの予防もでき、さらに、体調が整い、体形も良くなるそうだ。
いいことづくめの『MBT』だが、それだけに使用の際には注意しなければならないこともあるという。
『MBT』の日本での輸入販売を行っている株式会社エバニューの担当者は言う。
「MBTは厳密に言えば、靴ではありません。非常に効果の高いトレーニング器具です」
「不安定な自然の大地」を再現した靴底は人によってはバランスを取るのに苦労し、また、使い慣れない筋肉を動かすことで、疲れを感じる人もいるという。だから、最初のうちは、まる1日、履き続けることは好ましくないそうだ。
『MBT』を履いて歩くことで、このような効果が期待できるそうだ
最終的には通常の靴同様、1日中、履き続けて問題ないそうだが、慣れるまでは普通の靴とは違った意識で使ったほうが良さそうだ。また、従来の靴を履き、固く平らな路面を歩くことで身につけてしまう、足首を内側に倒す癖をそのままにして履き続けていると逆効果になることもあるという。
そういったこともあるため、『MBT』は、必ず、「MBTトレーナー」という専門のスタッフのいる店でしか購入できない。サイズ選びから、歩行法まで、店頭でレクチャーを受けてから初めて履くことができるそうだ。
なお、トレーニング器具とはいえ、最近は、ユーザーの層が広がっていることもあり、それに合わせて、『MBT』にも、ビジネス・レジャー、カジュアルなど、さまざまなデザインのモデルが発売されているそうだ。どのモデルも機能に違いはないとのことなので、使用するシーンに合わせたモデルを選んでほしい。
次回、実際に『MBT』を使用しているユーザーに使用感を聞いていく。
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